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彼は、頭の回転が速かった。
なかなか周りの人が気付かないこともすぐわかったし、どうしてそうなるのかも考えていた。
そうして世界を見ていて気付いた。
この世界にまともな物はほとんどない
それにみんな気付いてない
誰もが同じ世界に生きてるなんて大嘘で、
みんな自分の見たい世界しか見えてない
本当はこの世界なんて
美味しそうな罠や見た目だけの整列や都合のいい嘘や、そんなものだらけ
でもそれにみんな気付いていない
美味しそうな罠を本当に美味しいと思って食べてるし
見た目だけのものでも綺麗って言うし
そんなことで平気で生きてる
彼はそんな世界が嫌で嫌でしょうがなくて。
少しでも誰かの目を醒まさせることが出来ないかと必死になった。
何もできなかった。
誰も理解しなかった。
せいぜい褒めてくれるだけで。そんなのちっとも嬉しくないのに。
しかたがないよね みんな僕を理解できないんだから
そう、思ってみた。
でも こんなに歪んだ世界を前に 何も出来ないでいる
それじゃ 僕はただ 苦しむだけ
何をして 生きればいいの
何を 喜べばいいの
それならいっそ 何も知らなければ 良かった ?
本当を知らなくても 楽しく生きてれば 良かった ?
無理だよ もう
知ってるんだ この世界は悪意ばかりで できてる
そう 悪意のない悪意で
誰が悪いわけじゃない
みんな 少しだけ 知識や 知恵や 力が 足りないだけ
そうしてこの世界は だんだん 歪められて
みんな おかしくなってることに 気がつかない
本当を見ることで 何が変わった ?
僕一人が 苦しむだけ ?
それなら もう いいじゃない
苦しむだけで 終わるなんて 嫌だから
負け惜しみのように自分に言い聞かせて 生きてきた
でも
幸せだと思うことが 幸せ ?
真実に苦しむことが 幸せ ?
もう 出来ないんだよ
あの一言だけを支えに生きていくなんて
この世界に僕がいることが
苦しみしか 産まないなら
もう それは やめよう
さよなら みんなが愛した世界
さよなら 僕が憎んだ世界
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